設備投資による法人税や固定資産税の節税方法があります!

事業者が合計150万円超の設備投資をした場合、市区町村に対して毎年『固定資産税』を納税する必要があります。固定資産税は設備投資額の1.4%かかりますので、例えば1,000万円の設備投資をした場合に最大14万円が毎年の納税額になります。毎年減価償却により評価額が下がるため納税額は減ってはいきますが、その負担は大きく、設備投資を躊躇する要因の一つになっていると考えられます。

そこで設備投資に伴い、経営力向上計画や先端設備導入計画を申請して認定を受けることで、機械及び装置の税制優遇などの特例措置を受けることができます。

下記に該当する事業者は、必見の制度です。
・これから設備投資しようと思っており、法人税や固定資産税を削減したい。
・先端設備導入計画や経営力向上計画を申請したいが、仕組みが複雑で良く理解できない。
・従業員の賃上げを実施に伴い、税額を控除できる方法があるなら知りたい。

経営力向上計画は、条件に該当する中小企業(資本金や従業員数の制限あり)が、特定の書式に基づいて事業計画書を策定し、所管の省庁から認定を受けることで、優遇税制や金融支援などの特典を活用することができるようになる制度です。

①即時償却または税額控除適用(中小企業経営強化税制)

経営力向上計画に基づき、一定の設備投資を行うとき、その投資の規模や効果についてまとめた経営力向上計画を策定し、認定を受けることで、一定の優遇税制を適用することができます。中小企業の稼ぐ力を向上させる取組を支援するため、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づく投資(建物附属設備、機械装置、一定の工具や器具備品、ソフトウェアなど)について、即時償却又は税額控除(10%)のいずれかの適用を認める税制優遇措置です。

類型として、「生産性向上設備(A類型)」「収益力強化設備(B類型)」「デジタル化設備(C類型)」「経営資源集約化に資する設備(D類型)」があります。

🔳中小企業経営強化税制活用の対象
・資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
・資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・協同組合等
※中小企業等経営強化法第2条第6項に規定する「特定事業者等」に該当するものに限ります。
ただし、次の法人は、資本金の額又は出資金の額が1億円以下でも本税制措置の対象とはなりません。
①同一の大規模法人(注)から2分の1以上の出資を受ける法人
②2以上の大規模法人(注)から3分の2以上の出資を受ける法人


即時償却・・・設備取得と同時に、全額(100%)を損金(経費)として計上することができます。 
税額控除・・・取得価額の10%相当額の税額控除を受けることができます。一定規模以上の法人は7%、また一定の制限額あり
(注1)税額控除額は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制の控除税額の合計で、その事業年度の法人税額又は所得税額の20%が上限となります。なお、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができます。
(注2)特別償却は、限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額を翌
事業年度に繰り越すことができます。

100%即時償却することのメリットは?

即時償却のメリットは、前倒しで経費計上することによりその年度の利益が目減りし、法人税の課税対象所得を少なく抑えられるという点です。ただし、翌年度以降は償却費がなくなるため、最終的な納税額は同じです。減価償却の期間が短くなると、設備投資額の回収期間が短くなることにつながります。
つまり、事業リスクが軽減されます。支出のタイミングで即時償却によって一括で損金計上し、その年の節税額を増やすことができれば、資金に余裕ができ、さらに次の投資にまわすこともできます。

コロナによって突然、世界中が不況に陥ったように、不測の事態に備えて、手元に資金を確保しておくことは重要です。

②所得拡大促進税制で控除額増加

企業が従業員に対する賃金の支払額を増やした場合、その増加額に応じて法人税などを控除する「所得拡大促進税制」が2013年から始まっています。2018年4月以降に開始される事業年度からは、所得革新税制と名称が変更され、引き続き“賃上げを続ける企業を支援する”という目的のもと、適用されています。

本制度では「対前年度で当年度において増加した賃金総額」の15%が控除されます。しかし経営力向上計画の認定を受け、その計画に基づいて経営力向上がなされている場合には、25%の税額控除をすることができます。
役員等に支払った給与等は計算に含みません

🔳中小企業向け賃上げ促進税制の対象者
・資本金または出資金の金額が1億円以下の法人
・資本または出資のない法人で、常時使用の従業員数が1,000人以下
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
・中小企業等協同組合や出資組合の商工組合などの組合組織

中小企業・小規模事業者が設備投資を通じて労働生産の向上を図るための計画です。
所在している市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に、中小企業・小規模事業者が認定を受けることができます。

🔳先端設備導入計画の認定が受けられる対象企業
・資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
・資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
のうち、先端設備導入計画の認定を受けた者(大企業を除く)

🔳対象となる先端設備の種類
機械装置、測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウエア、事業用家屋、構築物

①3年間、固定資産税(償却資産税)が1/2へ減免

先端設備導入計画の認定を受けると、固定資産税の優遇を受けることができます。
また、上乗せ措置で税制改正により従業員に対する賃上げ方針を表明し、令和6年3月迄に資産を取得した場合には5年間、令和7年3月までに対象資産を取得した場合には4年間、固定資産税(償却資産税)が2/3減額されます。

②事業に必要な資金繰りを支援(信用保証)

先端設備導入計画の認定を受けると、資金調達の際にも有利になります。
信用保証協会の保証枠が増えて普通保険等通常枠とは別枠での追加保証を受けることが可能です。

特別の保証枠の内容は以下の通りです。
・普通保険:2億円
・無担保保険:8,000万円
・特別小口保険:2,000万円

先端設備導入計画を実行する際に、融資を利用するのであれば、追加される特別枠によって通常の融資枠とは別枠で融資を受けられます。

  1. メーカーに証明書発行を依頼する
  2. メーカーより証明書を受け取る
  3. 当社へ事前確認を依頼する
  4. 当社より事前確認書を発行する
  5. 先端設備等導入計画を市区町村へ申請する
  6. 市区町村より認定を受ける
  7. 対象設備を取得する
  8. 市町村へ償却資産税の申告(1月末まで)※申告により税額控除を受けられます。

先端設備等については、以下の通り「先端設備等導入計画」の認定後に取得することが必須です。

設備投資をする際に先端設備導入計画の認定を受ければ、購入した資産の固定資産税が優遇されることに加えて、投資計画を実行する際に必要な資金も有利な条件で借りることができます。

経営力向上計画や先端設備導入計画を申請すべきか、お困りの際は、お気軽にご相談ください。